<野菜摂取量推定機「ベジチェック®」に関する研究結果> 皮膚のカロテノイド量が多いほどメタボの指標となる数値が健康的であるという関係性を岩木健康増進プロジェクト健診で解明

カゴメ株式会社 (代表取締役社長:山口 聡 本社:愛知県名古屋市) と国立大学法人弘前大学(青森 県弘前市)は、両者の共同研究講座として「野菜生命科学講座」(伊東健教授、弘前大学大学院医学研究 科)を 2018 年に開設し、野菜摂取と健康との関係を明らかにする研究に取り組んでいます。そしてこの度、 「ベジチェック® 」で測定する皮膚のカロテノイド※1 量が多いほど、①野菜摂取量が多く、②メタボの指標とな る数値が健康的であるという関係性にあることを、弘前大学 COI※2が主導する岩木健康増進プロジェクト健 診※3 において明らかにしました。これらの結果は、ベジチェック®による皮膚のカロテノイド量の測定を健康 診断等に取り入れることで、食事や健康指導に役立てられることを示すものです。
なお、本研究内容は、Nutrients 誌に投稿し、6 月 19 日にオンラインで公開されました※4。

「ベジチェック®」について
ドイツの Biozoom services 社と当社が共同開発した野菜摂取の充足度を表示できる機器です。皮膚のカロテノイド 量を測定することで、「野菜摂取レベル」(野菜摂取の充足度)及び推定野菜摂取量(g)を表示します。LED を搭載し たセンサーに手のひらを当て、数十秒で測定が完了することから、利用者がその場で結果を見ることができる簡便さ が特徴です。企業や自治体の健康増進支援ツールとしてご活用いただいています。
参考: https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2019/img/190625_0700902.pdf

左:ベジチェック®測定風景 右: ベジチェック®測定結果画面 <野菜摂取量推定機「ベジチェック®」に関する研究結果> 皮膚のカロテノイド量が多いほどメタボの指標となる数値が健康的である という関係性を岩木健康増進プロジェクト健診で解明 2

■本研究の目的
皮膚のカロテノイド量を測定することで野菜摂取の充足度を表示する「ベジチェック®」の測定値(野菜摂取レベ ル)について、①実際の野菜摂取量との相関を再確認すること、②メタボの指標との関係性を明らかにすること を目的に研究を実施しました。

■研究結果の概要
① 皮膚のカロテノイド量が多いほど野菜摂取量が多い。
皮膚のカロテノイド量が多いほど野菜摂取量が多い関係性にあることが再確認されました。その相関係数 は、カロテノイドの主要な摂取源である緑黄色野菜に対するものが最も大きかったものの、野菜全般に対す るものとの間に大きな差はありませんでした。
<皮膚のカロテノイド量と野菜摂取量(食事摂取頻度調査[BDHQ]から算出)との相関>
・野菜(緑黄色野菜+その他野菜):有意な正の相関(r : 0.210, p < 0.001)
・緑黄色野菜:有意な正の相関(r : 0.217, p < 0.001)
・その他野菜:有意な正の相関(r : 0.174, p < 0.001)

② 皮膚のカロテノイド量が多いほど、メタボの指標となる数値が健康的である。
男女ともに、複数のメタボ指標と皮膚のカロテノイド量との間に有意な相関が認められました。特に、女性 ではほとんどの指標が、皮膚のカロテノイド量が多いほど健康的(メタボの進行に対して抑制的)な関係にあ ることが分かりました。因果関係の検証が今後の課題ですが、今回の結果は、健康診断等で皮膚のカロテノ イド量を測定した際の生活習慣の指導等に活用できるものです。

男性:340名、女性:471名(いずれも20歳以上) BMI:ボディーマスインデックス baPWV:上腕-足首間脈波伝播速度(動脈硬化の指標) HOMA-IR:インスリン抵抗性の指標 善玉コレステロール:血清 HDL-コレステロール 重回帰分析で有意な相関(皮膚カロテノイド量が高いほど 指標の数値が健康的)が認められた部分を緑色で示した。 ■:p < 0.05 ■:p < 0.01 ■:p < 0.001
図1.皮膚のカロテノイド量とメタボ指標との関係性

■試験方法
1) 解析対象者 2018 年岩木健康増進プロジェクト健診参加者 1,056 名から、以下を除いた 811 名(男性 340 名、女性 471 名)
除外基準:解析データに欠測がある者、高脂血症の投薬治療を受けている者、 重篤な疾患(がん、脳卒中、心血管疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病)の患者・既往歴のある者 指標 男性 女性 BMI baPWV 収縮期血圧 拡張期血圧 HOMA-IR 血中インスリン 空腹時血糖 中性脂肪 善玉コレステロール 3

2) 測定項目
①皮膚のカロテノイド量と野菜摂取量との関係 皮膚のカロテノイド量(ベジチェック®の「野菜摂取レベル」の測定値)、食事頻度調査(BDHQ)
②皮膚のカロテノイド量とメタボの指標となる数値との関係 皮膚のカロテノイド量(ベジチェック®の「野菜摂取レベル」の測定値)、身長、体重、baPWV、血圧、 HOMA-IR、血中インスリン、空腹時血糖、血清中性脂肪、血清 HDL-コレステロール

3) 統計解析
皮膚のカロテノイド量と野菜摂取量との相関:ピアソンの相関係数
皮膚のカロテノイド量とメタボ指標との関係性: 重回帰分析(調整因子:年齢、アルコール摂取量、喫煙習慣、運動習慣、降圧剤使用の有無)

※1:カロテノイド
野菜(特に緑黄色野菜)や果実に広く含まれる、赤~橙~黄色の色素。にんじん等の緑黄色野菜に豊富なβ-カ ロテンやルテイン、トマト・スイカの赤い色素であるリコピン、温州ミカンのβ-クリプトキサンチンなどがその代表です。 摂取することで体内に吸収され、皮膚にも蓄積することがわかっています。総じて強い抗酸化作用(一重項酸素消 去作用)を有することから、その積極的な摂取による健康効果が期待されています。また、カロテノイドの一部(β-カ ロテンやα-カロテン、β-クリプトキサンチン等)は、体内に吸収された後にビタミン A に変換されるプロビタミン A と しての役割を介して健康に寄与するものもあります。

※2:弘前大学 COI COI(センター・オブ・イノベーション)プログラムとは、2013 年度に開始された、長期間(最長 9 年間)の研究プログ ラムです。10 年後の目指すべき社会像(ビジョン)に向けてバックキャスト型で研究課題を設定し、最終的には研究 成果の社会実装までを産官学連携で実施するものであり、全国で 18 拠点が設定されています。弘前大学 COI もそ の一つであり、岩木健康増進プロジェクト健診の健康ビッグデータを活用した取組みを行なうことで、予防医療の実 現を目指しています。当社は、2014 年に参画し、2018 年 1 月に、同大学に共同研究講座「野菜生命科学講座」を開 設し、研究を推進しています。

※3:岩木健康増進プロジェクト健診 青森県弘前市岩木地区の住民を対象に、弘前大学医学部主導で 2005 年に開始された健康診断です。最大の特 徴は健診項目が超多項目にわたることであり、生体マーカーだけでなく、運動機能や行動についての調査も実施さ れています。弘前大学 COI の取組みが開始されてからは特に、参画企業がそれぞれに特徴的な項目の測定も実施 しており、将来の疾病予測法の開発等が進められています。当社は、2015 年の健診から参画し、血液中のビタミン A, C, E、カロテノイド等の測定を行なっており、非侵襲で皮膚中のカロテノイド量を測定し推定野菜摂取量を表示す る「ベジチェック®」による測定は 2018 年から開始しています。 

※4:Nutrients 誌に受理された論文の書誌事項 Matsumoto M, Suganuma H, Shimizu S, Hayashi H, Sawada K, Tokuda I, Ihara K, Nakaji S., “Skin carotenoid level as an alternative marker of serum total carotenoid concentration and vegetable intake correlates with biomarkers of circulatory diseases and metabolic syndrome.” Nutrients 2020 Jun 19;12(6):E1825. doi: 10.3390/nu12061825.

【本 件 のお問 い合 わせ先 】
カゴメ株 式 会 社 経営企画室 広 報 グループ
鶴 田 、太 田
TEL / 03 -5623- 8503 FAX / 03 -5623- 2334

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