カゴメ株式会社(代表取締役社長:山口聡、本社:愛知県名古屋市)と株式会社ゼンショーホールディングス(代表取締役会長兼社長:小川賢太郎 本社:東京都港区、以下 ゼンショー)は、外食においてお客様の野菜摂取を促す方法を検証するため、ゼンショー傘下のファミリーレストラン「ココス」の店舗で実証研究を実施しました。
1カ月間(2023年11月1日~11月30日)の実証研究の結果、お客様の行動変容を後押しする「ナッジ」※1を活用した掲示物と野菜摂取量推定機「ベジチェック®」※2を設置した店舗では、休日の推奨野菜メニュー注文率の増加が認められました。
本実証研究の成果を、2024年9月6日(金)~8日(日)に開催された第71回日本栄養改善学会学術総会にて発表しました。
カゴメは、今後も様々なパートナー様と協力し、「野菜の会社」として日本人の野菜不足ゼロを目指した活動を推進していきます。
※1 ナッジ:個人の選択の自由を制限することなく、小さな介入によって行動を良い方向へ誘導する手法
■ 実証研究実施の背景
厚生労働省の過去の調査や研究論文※3では、外食の利用頻度が高い方ほど野菜の摂取量が少ないとの報告がなされています。
一方で、現在飲食店では様々な野菜メニューが提供されていることから、外食で十分な野菜摂取が難しいことには、環境だけではなく消費者の意識や行動による要因もあると考えられます。
そこで、カゴメとゼンショーは、推定野菜摂取量測定機器「ベジチェック®」のようなデバイスや、ナッジを活用することで野菜メニューの選定を促進出来るかを検証することとしました。
なお、ナッジの掲示物や実証研究の計画は、行動経済学が専門分野である竹林正樹先生(青森大学、青森県立保健大学)に監修いただきました。
■ 実証研究の方法
首都圏の立地などの条件が類似するココスの店舗から、「ベジチェック®」を設置する店舗(以下 VC店舗)3店舗、「ベジチェックⓇ」に加えナッジ掲示物を設置する店舗(以下 ナッジ店舗)3店舗、それぞれの比較対照の基準となる店舗6店舗(以下 対照店舗)を選定し実証研究を実施しました。
「ベジチェック®」はいずれの店舗でも店舗入口付近に設置。
ナッジ掲示物については
①「ベジチェック®」の位置を示す床面ステッカー
②「ベジチェック®」の設置を告知し、測定を促す漫画を掲載した卓上メニュー
③「ベジチェック®」の測定結果に応じた推奨野菜メニューを記載したポスターの3点を設置しました。
30日間、「ベジチェック®」およびナッジ掲示物を設置し、「ベジチェック®」測定率や推奨野菜メニュー注文率の測定、出口調査によって野菜摂取に関する意識の変化調査を実施しました。
■ 結果
「ベジチェック®」測定率は、VC店舗、ナッジ店舗ともに平日約20%、休日約29%と、平日よりも休日の方が高い結果でした(図1)。
推奨野菜メニューの注文率は、休日において対照店舗よりもナッジ店舗で有意に高くなっていました(図2)。
出口調査による野菜摂取の意識調査の結果、「ベジチェック®」測定率は、小学生以下のお子様と一緒にご来店されたお客様が最も高く、そのグループが測定したタイミングは注文前と食事後がおよそ半々でした。
また、「ベジチェック®」測定後の野菜摂取意向については、ナッジ店舗、VC店舗ともに野菜摂取を「すぐに実行したい」、「今回の食事で実行した」と回答した人が合計60%以上であり、休日では「今回の食事で実行した」と回答した人が約20%となりました(図3)。
■ まとめと今後の課題
今回の実証研究の結果から、ナッジや野菜摂取量推定装置を活用することで、ご来店されたお客様に野菜メニューの注文を促すことが出来ることが示唆されました。
一方で、注文率の増加量はそれほど大きくなかったため、外食において十分な野菜摂取を促すためには、介入方法のさらなる改善が必要と考えられます。
■参考文献
*平成12年 国民栄養調査における外食の利用頻度別にみた野菜摂取量について
https://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1108-3b.html
*児玉 小百, 合食の外部化にみる都道府県単位の食品の消費パターンと栄養習慣・食生活支援環境の関連性,
厚生の指標, 60, 1-9, 2013
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201301-01.pdf
*木林 悦子,他, 健康な食事の習慣と生活習慣病予防のための食態度,健康維持の姿勢との関連,
栄養学雑誌, 80(3), 149-157 (2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi/80/3/80_149/_pdf/-char/ja
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