『ベジチェック®』を活用した「カゴメ健康サポートプログラム」の受講により野菜摂取量が増加することを確認 ~第67回日本栄養改善学会(2020年9月2日)で発表~

 カゴメ株式会社(代表取締役社長:山口聡、本社:愛知県名古屋市)は、当社の健康サービス事 業(※1)で提供している『ベジチェック®』(※2)を活用した「カゴメ健康サポートプログラム」(以下、 本プログラム)を受講した方は、野菜摂取に関する意識や行動が亢進し、野菜摂取量が増加する ことを明らかにしました。この研究は、2019 年に神奈川県に採択された「神奈川 ME-BYO リビング ラボ」実証事業に基づいて実施しました。「神奈川 ME-BYO リビングラボ」とは、県民が安心して 未病改善に取り組むことと、未病産業の持続的発展の促進を目的に、市町村や健康経営を実践 する企業等と連携して、未病関連商品・サービスの検証・評価を行う仕組みです。

■ 本研究の目的
厚生労働省が推進する「健康日本 21(第二次)」では、成人 1 人 1 日当たり 350g の野菜摂取 が目標とされていますが、日本人の平均野菜摂取量は 281.4 g と目標に達していないのが現状で す(※3)。特に、20 歳代~50 歳代は 60 歳以上に比べて野菜摂取量が少なく、勤労世代において 野菜摂取を促す必要性が高いと考えられています。
本研究は、勤労者を対象として、食生活改善の動機付けセミナー及び野菜飲料の提供による環 境サポートで構成された従来の「カゴメ健康サポートプログラム」の受講に加え、野菜摂取量を簡 単に推定できる『ベジチェック®』によるモニタリング測定を実施することが、受講後の野菜摂取量 に影響を与えるかを明らかにすることを目的とし、実施しました。

■ 方法と結果
本プログラムの評価は、女子栄養大学と共同で実施しました。
男女 191 名の勤労者を、食生活改善の動機付けセミナーと 4 週間の環境サポートのみ実施した 群(対照群)とそれに加え1週間に 1 回以上ベジチェック®の測定を実施した群(介入群)に分け、 介入前、介入 4 週目(環境サポート終了時)、介入 10 週目に食事調査を実施し、野菜摂取量を算 出しました。その結果、野菜飲料による環境サポート終了直後の介入 4 週目の調査では両群とも に介入前と比較して野菜摂取量の有意な増加が認められましたが、介入 10 週目の調査では、対 照群では野菜摂取量の増加が認められなかったのに対し、ベジチェック®の測定を実施した介入 群では、介入前と比較して野菜摂取量の増加傾向が認められると共に、介入前からの野菜摂取 の変化量が対照群と比較して有意に高くなっていました。このことから、動機付けセミナーや環境 サポートに加え、ベジチェック®による野菜摂取のモニタリング測定を実施することは、受講後の野 菜摂取量の増加とその維持に有用である可能性が示唆されました。

図 1. 野菜摂取量の変化 介入群;n=74, 対照群;n=71, 値は平均値 a: 介入前の値と比較して有意差あり (p < 0.05, One-way ANOVA Dunnett 解析) b: 介入前の値と比較して傾向あり (p < 0.1, One-way ANOVA Dunnett 解析) c: 対照群と比較して有意差あり (p < 0.05, Student’s t 検定)

<まとめ>
◆『ベジチェック®』を活用した「カゴメ健康サポートプログラム」は、受講者の野菜摂取量の増加と その維持に有用である可能性が示唆されました。
◆本研究結果は第67回日本栄養改善学会(2020年9月2日)にて誌上発表しました。

<研究概要>
【研究方法】
神奈川県内に事業所がある企業に勤務し、研究への参加同意が得られた 191 名(男性 103 名、 女性 88 名、平均 41.7 歳)を対象とし、無作為に野菜摂取に関する動機付けセミナーと 4 週間の野 菜飲料提供による環境サポートを受ける群(対照群)と、それに加えて介入終了時までベジチェッ ク®による測定を週に 1 回以上実施する群(介入群)とに割付けました。研究対象者は、介入前、 環境サポートが終了した直後(介入 4 週目)、及び環境サポート終了 6 週後(介入 10 週目)に、食 事調査及び野菜摂取に関する行動変容ステージ(※4)調査に回答してもらいました。

★ 栄養教育による介入の内容
・介入群、対照群ともに実施した内容
① 野菜摂取量を増加させるための管理栄養士による動機づけや手段を提供するセミナー
② 簡便に野菜摂取できる環境サポートとして 24 本/1 人の野菜飲料の無償提供
・介入群のみに実施した内容
③ 介入開始時より介入 10 週目まで週 1 回以上の『ベジチェック®』の測定

【結果】
介入期間中に脱落した方を除き、評価対象は 145 名(介入群 74 名、対照群 71 名)でした。
両群ともに介入前に比べ、介入 4 週目の食事調査から算出した野菜摂取量は有意に増加して いました(対照群:156.4g/日→201.4g/日、介入群:161.9g/日→196.2g/日)。介入群のみで、介入 前から介入後の野菜摂取の増加傾向が認められました(介入群:156.4g/日→191.2g/日、対照群: 161.1g/日→172.9g/日)。介入前の野菜摂取量からの増加量を群間比較したところ、介入 4 週目で は群間差は認められませんでしたが、介入 10 週目では、介入群の方が有意に高い値を示しまし た(介入群+34.9g、対照群+11.8g)(図 2)。また、野菜摂取に関する行動変容ステージについては、 介入群では介入前調査において前熟考期、及び熟考期の割合が合計で 44.0%であったのが、介入 4 週目, 及び介入 10 週目ではそれぞれ 18.7%, 22.7%と減少しており、準備期以上の割合が事前で は 56.0%から, 介入 4 週目、及び介入 10 週目では 81.3%、77.3%と増加していました。同様に対照群 では介入前調査において前熟考期, 及び熟考期の割合が合計で 50.7%であったのが、介入 4 週目 で 36.2%と減少し、介入 10 週目でも 43.4%となっていました(図 3)。

図 2. 各群の菜摂取量の変化
介入群;n=74, 対照群;n=71, 値は平均値 a: 介入前の値と比較して有意差あり (p < 0.05, One-way ANOVA Dunnett 解析) b: 介入前の値と比較して傾向あり (p < 0.1, One-way ANOVA Dunnett 解析) c: 対照群と比較して有意差あり (p < 0.05, Student’s t 検定)

図 3. 野菜を 350g 食べることに関する行動変容ステージの変化
行動変容ステージを前熟考期=1 点、熟考期=2 点、準備期=3 点、実行期=4、維持期=5 点でスコア化し、各群の介 入前のスコアと、介入 4 週目、及び介入 10 週目の値を Friedman 検定で比較した結果、対照群では介入 4 週目で スコアの有意な増加が認められ(p = 0.0028)、介入 10 週目では増加傾向が認められた(p = 0.055)。一方、介入群 では、介入 4 週目、及び 10 週目共に有意な増加が認められた(p = 0.0058、p = 0.021)。

【まとめ】 以上の結果から、セミナーと野菜飲料配布による環境サポートのみの栄養教育プログラムでは 環境サポート終了後行動変容ステージの亢進は維持される傾向があるものの、野菜摂取量の増 加が維持されないのに対し、ベジチェック®によるモニタリングを取り入れたプログラムでは、環境 サポート終了後も行動変容ステージの亢進が維持されるのに加え、野菜摂取量の増加についても 維持される傾向にあることが示され、野菜摂取量増加を目的とした栄養教育において、動機付け のためのセミナーや環境サポートのための野菜飲料配布に加えて、ベジチェック®を用いた継続的 な野菜摂取量のモニタリングを取り入れることは、野菜摂取量の増加の維持に有用である可能性 が示唆されました。

<用語説明>
※1:カゴメの健康サービス事業
当社は2018年10月より、主に法人や自治体向けに、健康増進をサポートするサービスを開 発・販売しています。「野菜と生活 管理栄養士ラボ®」は、食と健康のプロである管理栄養士資格 保持者62名(2020年9月時点)が在籍し、その一翼を担っています。
野菜摂取の重要性、メリット、メソッドを伝えるセミナー(集合型/オンライン型)やメニューレシピ、 料理教室等を通じて、食生活の改善や野菜摂取をサポートします。

※2:ベジチェック®
センサーに手のひらを当て数十秒で、自身の野菜摂取充足度 が数値で表示されます。 その場で結果を見ることができる簡便さが特徴で、 他のサービスと組み合わせることで、より行動変容を促すことが 期待できます。

※3:平成 30 年「国民健康・栄養調査」、20 歳以上男女の平均値

※4:行動変容ステージ
行動変容ステージモデルでは、人が行動(生活習慣)を変える場合は、以下の【図】のように「無 関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の 5 つのステージを通ると考えます。 今回の研究では、無関心期:1 点、関心期:2 点、準備期:3 点、実行期 4 点、維持期:5 点として スコア化し、結果を統計解析しています。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット

■神奈川 ME-BYO リビングラボ
神奈川 ME-BYO リビングラボとは、神奈川県民が安心して未病改善に取り組むことと、未病産 業の持続的発展の促進を目的に、市町村や健康経営を実践する企業等と連携して、県民参加の 実証フィールドを創出し、未病関連商品・サービスの検証・評価を行う仕組みです。神奈川県では 「神奈川 ME-BYO リビングラボ」を通じて、SDGsの取り組みを推進しています。

カゴメ株式会社
経営企画室 広報グループ
北川、太田
TEL/03-5623-8503

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