年度の節目となり、健康経営担当として新たな取り組みを検討中の方や、健康経営を新たな経営課題として持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回、健康経営を経営戦略に位置付ける上で重要となる、「健康経営度調査」と「健康投資管理会計ガイドライン」について、わかりやすく解説し、その活用術を紹介します。
健康経営度調査を上手に活用して、健康経営を始めよう!
健康経営度調査とは、経済産業省が実施している調査で、主に以下の2つが目的です。
・法人の健康経営の取り組み状況と経年での変化を分析する。
・「健康経営銘柄」の選定および「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定のための基礎情報を得る。
調査内容は専門家による委員会で策定されており、回答に対して評価結果のサマリー(フィードバックシート)が送付される仕組みとなっています。「健康経営を何から始めれば良いかわからない」という場合、まずこの健康経営度調査に回答することで、実践にあたって何が重視され、何から取り組めばよいのかポイントを抑えることが可能です。
健康経営度調査への回答には期間があります。令和3年度は8月30日(月)~10月25日(月)17時が回答期間です。
※健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)の認定申請期間は、令和3年度8月30日(月)~11月1日(月)となります。
記入できる取り組みの対象期間は、前年度の4月1日~回答日までの約1年半となっています。
「調査に回答してみたいが、あまり健康経営に取り組んでいないので自信がない」と思われた方へ、未記入の項目があってもまず提出することをおススメします。経済産業省HPでも積極的な提出を呼び掛けています。回答後に送付されるサマリーには、業界における各社の健康経営の実践レベル、評価すべき項目、今後見直しが必要な項目など、健康経営を進めていく上で参考となる情報が掲載されているため、健康経営スタートの足掛かりになるのです。回答期間をこまめにチェックしつつ、過去の調査票を参考に、健康経営推進を検討してみてはいかがでしょうか?
なお、健康経営度調査の項目は毎年少しずつ変更があるため、回答期間に合わせて最新の調査票をご確認ください。
参考1:令和4年度健康経営度調査のポイントを解説したコラムはこちら
https://healthcare.kagome.co.jp/column/kenkoukeiei-research-r4
参考2:令和3年度健康経営度調査 調査票【サンプル】
参考3:令和3年度健康経営度調査 結果サマリー(フィードバックシート)【サンプル】
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/R3_fbsheet_sample.pdf
ワンランク上の健康経営へ!健康投資管理会計ガイドラインとは?
「健康投資管理会計ガイドライン」とは、「企業等が従業員のために創意工夫し、健康経営をより継続的かつ効率的・効果的に実施するために必要な内部管理手法を示し、また、取り組み状況について外部と対話する際に、共通の考え方を提示するもの」です。令和2年6月に策定され、同年の健康経営度調査票と連携が開始されました。これは労働生産性の向上など、経営課題解決のために必要な健康の保持・増進に焦点を当てて「PDCAサイクルを回すこと」「その取り組みを外部へ発信すること」がより重要となってきている背景に基づきます。
健康投資管理会計は、労働安全衛生法等に基づいた義務的な健康管理(定期健康診断やストレスチェックなど)がベースにあった上での取り組みです。そのため、すでに健康経営に取り組み始めていて、効果分析や評価方法を模索している企業の活用が想定されています。
~健康投資管理会計作成の流れとイメージ(健康経営に関する戦略をすでに策定している企業などの場合)~
1.戦略マップの作成
2.健康投資シートの作成
3.健康投資効果シートの作成
4.健康資源シートの作成
5.内部機能としての活用
6.外部機能としての活用(外部に公表)
令和3年度の健康経営度調査でも、「健康経営で解決したい経営上の課題に対して、健康経営の実施により期待する効果や具体的な取り組み等のつながりを整理していますか?」という設問をはじめ、数ヵ所に「健康投資管理会計ガイドライン」が登場しました。
まずは1つ目のステップである「戦略マップ」の記入から挑戦してみませんか?
ポイントは、健康投資の先に経営課題の解決を見据えることです。経営層と対話を繰り返し、理解を得ることも重要です。
~戦略マップ記入例~
フォーマットはこちら
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612001/20200612001_1.xlsx
なお、本ガイドラインの大きな特徴のひとつに、健康経営に関する活動を行う際にかかる費用と得られる効果を認識するための量的・金銭的指標を用いる点があります。合理的な判断や行動がとりやすくなり、従業員・事業主・地域社会・株主などのステークホルダーに理解が得られやすい関係を醸成し、対話することが可能になります。一方、健康の定義は幅広く、量的・金銭的指標だけですべてを表しきることはできない点も留意しつつ取り組むことを意識してください。
健康経営って実は、単に従業員が健康になるための活動ではなく、経営に資する活動であること、何となくご理解いただけましたでしょうか?まとめになりますが、健康経営はまだという方はまず「健康経営度調査」に回答してみること。すでに取り組んでいて、より経営にとってプラスになるワンランク上の健康経営に挑戦したいという方は「健康投資管理会計」を始めてみることをおススメします!
・ 経済産業省HP 健康経営度調査について
・ 経済産業省HP 健康経営優良法人についてよくある質問
・ 経済産業省HP 「健康投資管理会計ガイドライン」を策定しました
・ 経済産業省HP 健康投資管理会計ガイドライン 概要説明資料
・ 健康投資管理会計ガイドライン
・ 経済産業省 令和3年度 健康経営度調査(従業員の健康に関する取り組みについての調査)